個人事業のための、損をしないための決算、申告上の留意点というお話 決算編 その2


今回は、個人事業のための、損をしないための決算、申告上の留意点というお話 その2 である。


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前回のその1では、経費や売上の期間的な計上もれはないか?ということを取り上げた。

つまり、タイミングの問題であって、どの事業年度の決算、申告上、反映させるのか?ということが論点であったともいえる。

そして、今回は、タイミングではなく、そもそも、経費に計上できるものに関して、経費ではないと思い込んでいて、これまでも、これからも、経費処理を漏らすことで、節税という観点で、損をしていませんか?という内容について取り上げたい。

つまり、今回の話では、経費にできる対象、範囲の問題であって、漏らしやすい経費について、いくつか取り上げたい。

その1 税金

各種税金は、事業所得の計算上、経費にできないものと、できるものがあるのはご存知だろうか?

おそらく大丈夫だとは思うが、まず、経費に計上できない税金の代表例としては、前年の所得に関する、所得税、と、個人住民税(個人事業税を除く)である。

そのため、前年の税金は、今年に支払うことが多いと思うが、所得税と、個人住民税(個人事業税を除く)は、今年に支払ったからと言って、経費には計上してはならないので、ご留意頂きたい。

ただ、もう敏感な方は、お気づきかと思うが、税金でありながら、事業所得の計算上、経費に計上できる税金がある。

それは、個人事業税、である。

この点、稀に、ご存知なく、所得税等同様、計上されていない方もいらっしゃるので、是非、確認して頂ければと思う。

あと、消費税についても、留意が必要だ。

つまり、会計上、決算上、会計帳簿、決算書を、税込方式により記帳され、また、表示されている方におかれては、年間の確定させた消費税額は、事業所得の計算上、租税公課という経費科目において、経費計上しなければ、多額の経費もれが生じる可能性があるので、ご留意頂きたい。

また、税抜方式による場合には、年間確定消費税額と、仮払消費税等と仮受消費税等との差額とに差異がある場合には、その差異額について、適切な処理をしなければ、事業所得の計算に誤りが生じるので、ご龍頂きたい。

つまり、消費税については、経理方式によって、事業所得の計算上、取扱いが異なるので、くれぐれもご留意頂きたい。

その2 同一生計の親族が負担した経費

まず、同一生計というやや難しい言葉が出てきたが、より正確にいうと、生計を一にする、という。

簡単に言うと、生活の糧を共にする、ということで、代表例は、家族が、同居して、衣食住に関する支出等を共有していることが、まさに、同一生計、ということになる。

そして、同一生計の親族が負担した、事業者の支出は、事業者において、経費に計上できるのである。

ただ、これを説明すると難しくなるが、同一生計親族に対して支払った支出は、事業者の事業所得の経費に計上できないので留意が必要だ。

具体例で説明しよう。

例えば、私は会計事務所を経営しており、当然、事業のために携帯電話を使っているが、家族会員のため、その支出を、私の同居する家族がしていた場合としましょう。

この場合に、私が、概算で、毎月10,000円くらいだろうということで、その支出を負担している同一生計の親族に対して、10,000円支払ったとしても、その10,000円は、事業者である私の事業所得の計算上、経費には計上できないということになる。

なぜなら、私が支出したものは、正に、同一生計親族に対して支払った支出であって、それは経費にはできない、とされているからである。

しかし、一方で、私の携帯料金を負担している同一生計の親族が、私の携帯料金について、携帯電話会社に、例えば、15,000円支払っていたとすれば、その携帯電話を事業に使っていた私自身の事業所得の計算上、通信費という経費として、15,000円、経費として処理できることになる。

通常、このように、実際の料金と、精算金額が大きく相違することはない可能性が高いが、しかしながら、所得税法上、このようにしなければならないのである。

なぜなら、先ほどと同様であるが、所得税法上、同一生計親族が負担した、事業者の事業に関する経費(私の携帯電話料金)については、事業者(私のこと)の事業所得の計算上、経費に計上できる、とされているからである。

では、この規定の内容をご理解頂いたとして、例えば、実際に、同一生計親族間で、支出の精算はないけれど、ご自身の事業において関連する支出を、同一生計親族が負担しているものがあれば、それらをかき集めて計上すれば、そうしない場合に比べて、節税になるということになる。

つまり、同一生計親族の範囲内で、事業者の事業に関係する経費を支出したかどうかが重要なのであって、その同一生計親族間で、それらの負担を精算したかどうかは関係ない、ということなのである。

(もちろん、その支出が、事業者の事業に関係していることが、大前提であるが。)

どうだろうか?

同一生計親族が支出していて、自分自身が負担していないから経費に計上できないと思われていた方には、朗報だ。

特に、漏らしがちな経費は、

・同一生計親族が購入した減価償却資産の減価償却費(事業所建物や、車両等)

・同一生計親族が負担している事業に関係する不動産に関する固定資産税(事業所に関する部分等)

だとうか。

是非、検討頂きたい。

なお、注意のために記載しておくが、上記の取扱いは、同一生計親族の場合の取扱いであって、仮に、親族であっても同一生計ではない親族に対して、事業に必要な支出について、事業者が、同一生計ではない親族に対して支払っている場合には、その支出は、事業者の事業所得の計算上の経費になる。

つまり、親族に対する支出についても、同一生計か否かによって、取扱いは変化するのでご留意頂きたい。

その3 事業開始前に取得した減価償却資産の減価償却費

これは、特に、最近、個人事業を始められた方に多い話である。

つまり、その通りであるけれど、事業を開始する前(例えば、サラリーマン時代)に、購入した資産について、事業開始後は、事業に使っているにもかかわらず、その減価償却費を経費に計上できるしらないために、経費に計上していないケースである。

そして、その代表例は、車両や、事業所の建物である。

ただし、これは、より専門的に表現すると、非業務用資産の業務用資産への転用、といって、購入金額の全額が、事業開始後に、減価償却資産として経費に計上できるものではないので、適用する際には、留意が必要な分野でもある。

また、減価償却資産なので、耐用年数の選択が、重要なポイントとなるが、その点についても、事業開始以後においては、ある意味、既に、中古資産とも考えられるが、事業開始前の取得時点で、新品であった場合には、中古資産の耐用年数の特例が使えなかったり、やはり、ややこしい部分もあるので、ご留意頂くか、専門家に相談していただきたい部分でもある。

詳しくは、こちらを参照頂きたい。

No.2108 中古資産を非業務用から業務用に転用した場合の減価償却

非業務用資産を業務の用に供した場合

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