今回は、個人事業者必見・なぜ国民健康保険料は高いのかというお話。
早い方は、そろそろ、確定申告書を出される方もいらっしゃると思うが、ここで、毎年、申告をしてこのような疑問を思われる方がいらっしゃらないだろうか?
それは、所得税よりも、どうして、国民健康保険料(以下、国保、とする)は、こんなに高いのか?という疑問を。
正直、私、金平先生、本人も、個人事業者になった時、国保に切り替わった時に、そう思ったのであった…
そこで、今回は、その理由について、解説したと思う。
ただ、理由といっても、主に、その計算方法を見ていくだけになるけれど。
また、個人事業者を読者と想定しているため、所得の種類は、事業所得で、かつ、65万円の青色申告特別控除を控除している場合を想定する。
さらに、比較対象として、所得税の計算と比較したい。
ただ、答えは明快。
国保の計算においては
その1 65万円の青色申告特別控除の控除がない
その2 基礎控除以外の所得控除がない
その3 税率が、約10%と、所得税の最低税率5%に比べると、高い
その4 世帯割、均等割、といって、所得とは関係のない保険料が、被保険者の数に比例して課せられる
その5 協会けんぽ等加入の場合は、会社が半分負担してくれるが、国保は全額自己負担
こんなところだろうか。
もうすこし具体的に見ていきたい。
その前に、富山市の国保のHPの計算方法は分かりやすいので、以下を参照頂きたい。
なお、税率は、国保を管轄する市町村によって異なるので、ご留意頂きたいが、計算ロジックは同じである。
http://www.city.toyama.toyama.jp/fukushihokenbu/hokennenkinka/fukakakari/kokuminkenkohokenryo_2.html
その1 65万円の青色申告特別控除の控除がない
上記のリンクの通り、国保計算上の所得の計算過程においては、所得税の所得の計算上のう65万円の青色申告特別控除の控除がない。
つまり、それだけ、課税ベースが大きいことになり、そのため、国保が高くなる理由となる。
その2 基礎控除以外の所得控除がない
これも、国保計算上の所得の計算過程の通りで、その過程で控除できるものは、基礎控除33万円のみ。
しかし、所得税の所得の計算上は、例えば、配偶者控除、社会保険料控除、生命保険料控除、扶養控除などが、沢山控除できる。
つまり、ここでも同じく、国保は、所得税に比べて、それだけ、課税ベースが大きいため、国保が高くなる理由となる。
その3 税率が、約10%と、所得税の最低税率5%に比べると、高い
これも、リンクの3つの区分の税率の通り、約10%。
一方、所得税は、最低税率が、5%であることから、特に、所得が少ないときは、所得税は、全然かからないのに、国保が大きく感じるのは、これも理由である。
その4 平等割、均等割、といって、所得とは関係のない保険料が、被保険者の数に比例して課せられる
まず、平等割とは、世帯に対して課せられるもの。
この点、国保は、世帯に対して課せられるため、一人でも国保の人がいれば、世帯割は課せられる。
介護保険分も含めると、平等割は、富山市の場合約35,000円。
また、均等割とは、被保険者の数に比例して課せられる保険料。
そのため、所得のない子供や大人がいるだけでも、かかるもの。
これは、介護保険分を含めなくても、一人当たり、富山市の場合約34,000円。
そのため、被保険者が、本人、子供2人になると、それだけで、年間102,000円が追加になる。
ちなみに、被保険者とは、国保を使える人で、国保に加入している人のこと。
この点、所得税には、均等割という概念がないく、所得割のみだから、国保は、所得税に対して、高く感じる理由となる。
なお、国保は、当然、これらに、所得割が乗せられるから、当然、重たくなる。
その5は、そのままなので、割愛。
どうだろうか。
ただし、国保には、上限があるので、所得が多ければ多いほど、上限の範囲内で収まるというメリットもある。
しかし、上限の額は、介護保険を含めると、現時点の富山市の場合、85万円…
これに、国民年金もあるから、自分と奥さんの保険料が、年間約20万円×2人=40万円となると、総額で、125万円…
ちなみに、国民年金は、将来給付があったり、障害年金の対象になるので、ある種の対価性がある。
一方、国保ももちろん、保険を利用すれば、対価性はあるものの、利用しな場合、高く感じるのは私だけだろうか。
また、国保が上限に達している場合、社会保険料は、上記の場合、約68%が、国保で、年金が、32%となるが、対価性を考えると、その割合は、年金に比重を移したいなと思うのは、私だけだろうか。
この点、厚生年金保険は、年金と、健康保険では、年金の方が比重が高い。
ということで、個人事業者である限り、こればっかりは、逃れようのないことなので、どうしようもないが、どうして、これだけ国保が高いのか、理由をご理解頂ければ、まだ、納得できるのかと思い、取り上げた。
また、今後、個人事業者となる方は、当然、中期的な資金繰りを検討されると思うが、この国保のことは、是非、加味していただきたい。
そうじゃないと、予期せぬ大きな負担によって、資金計画も崩れる可能性があるため。
この点、先日は、ある知人から、ご家族の健康保険料について相談を受けて、正に、もっと早く金平先生に出会えばよかった、といった感じだったし、現在の顧問税理士が教えてくれればよかったのにとおっしゃっていました。
税務の相談も、国保、国民年金、そして、協会健保、厚生年金の全体像を把握している税理士に相談することも重要だと私は思う。
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