その2の年金に引き続き、健康保険に移りたい。
健康保険といえば、病院で使える保険で、現在では、現役世代では、原則、医療費の7割を健康保険が負担してくれる保険制度と言える。
現行法上の現役世代の健康保険は、
・国民健康保険
・協会けんぽ(中小企業の一般的な場合、大企業等例外あり)
である。
事業者本人の健康保険は、
・個人事業者の場合、国民健康保険
・法人経営者の場合、協会けんぽ
になる。
従業員の健康保険については、原則、年金を同じである。
個人事業の場合、事業所としての要件と、従業員の勤務実態の要件を充たせば、事業主は、従業員を厚生年金に加入させる必要が生じ、同時に、協会けんぽの健康保険に加入することになる。
法人の場合は、事業所ととして要件はなく、従業員の勤務実態の要件を充たせば、法人は、従業員を厚生年金に加入させる必要が生じ、同時に、協会けんぽの健康保険に加入することになる。
なお、従業員の勤務実態による要件は、企業規模によっても昨今は変化しているが、原則的には、以下の通りである。
厚生年金の加入要件
http://www.nenkin.go.jp/faq/kounen/kounenseido/hihokensha/20120830.html
厚生年金を加入すべき事業所要件
http://www.nenkin.go.jp/faq/kounen/kounenseido/jigyonushi/20140902-01.html
次に、国民健康保険について説明したい。
個人事業の経営者、および、厚生年金に加入しない従業員は、その本人が、誰かの扶養に該当しない限り、国民健康保険に加入することになり、国民健康保険料は、全額、本人負担となる。
そのため、個人事業の経営者は、国民健康保険に該当する従業員の国民健康保険料を負担する義務はない。
保険料については、国民健康保険組合によって異なることもあるが、例えば、富山市の場合、青色申告特別控除前の合計所得金額から、住民税の基礎控除額33万円を控除した金額に、各種保険料率を乗じた額と、各種均等割額を加算した額が、世帯単位で計算され、徴収されることになる。
富山市国民健康保険料の計算方法
http://www.city.toyama.toyama.jp/fukushihokenbu/hokennenkinka/fukakakari/kokuminkenkohokenryo_2.html
ちなみに、富山市の平成28年時点の保険料の上限は、介護保険分を含めると、上限が、89万円とされている。
かなり高額だ。
次に、協会けんぽに移りたい。
おさらいになるが、協会けんぽは、
・個人事業者の下で働き、事業所、勤務要件に合致した場合の従業員
・法人で、勤務実態に合致した従業員(役員を含み、故に、経営者が加入)
が加入する。
そして、保険料は、
・各人の給与
と
・その年の各都道府県の料率
によって計算される。
給与については、正に、各人、それぞれになるが、料率については、現時点で、富山県の場合、全体で、給与額に対して、約11.41%(介護保険料を含む)である。
なお、協会けんぽの保険料の料率については、毎年、上昇傾向にある。
ただし、実務的には、給与の幅毎に、等級が設定されており、等級ごとに、原則、大幅な変動が継続しな限り、1年間、一定である。
協会けんぽ 保険料率表
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/cat330/sb3150
ただし、保険料の負担は、雇用者、と、従業員、との折半である。
つまり、
・半分は、雇用者である、個人事業者、または、法人
・もう半分は、加入対象の従業員
が負担することになる。
そもそも、特に、法人の経営者というのは、労使折半であったとしても、法人のお金も半ば自分のもののようなもので、全額自己負担のようなものだが、従業員分については、事業主サイドが半分負担しなければならないという事実を知り、どのように捉えるかは重要な問題である。
次に、厚生年金には、扶養、という概念があり、厚生年金の対象者の親族が扶養親族の要件に該当して、手続をすれば、その扶養親族の年金保険料の納付は不要になり、年金に加え、健康保険料の納付も不要になる。
扶養親族
http://www.nenkin.go.jp/service/kounen/jigyosho-hiho/hihokensha1/20141204-02.html
最後に、健康保険については、国民一人に対して、一つの健康にしか加入できない。
そのため、国民健康保険の対象者は、協会けんぽに加入できないし、逆も然り。
より実務的には、協会健保に加入すれば、強制的に、国民健康保険から抜け、逆に、協会けんぽから抜ければ、誰かの扶養にならない限り、強制的に、国民健康保険に戻るということである。
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