最近、このような案件がいくつか散見される。
それは、法人化したはいいが、予想以上に社会保険料の負担が重くて、利益減少、資金繰り悪化という案件である。(ちなみに、弊所関与で、法人化されたのではなく、既存の別事務所関与で法人化されたケースである。)
他方、少子高齢化、労働生産人口の減少と、景気回復によって、人材不足、求人を出しても応募がない、といった悩みも散見される。
中でも、社保整備があることが、応募の条件としている労働者も少なくないようだ。
こんな時代だから仕方がないと思う。
こうなると経営者としては、一種のジレンマである。
つまり、人材確保を優先するか、利益、資金繰りを優先するか。
非常に悩ましい問題である。
こればっかりは、経営者の価値観次第だと思う。
つまり、優秀な人材確保を優先させるのであれば、法人化、社保整備、となるだろう。
一方、利益、資金繰りを優先させるのであれば、社保負担の見直し、となるだろう。
しかし、法人化して、一旦、社保に加入してしまった以上、社保負担を見直すことは可能だろうか?
可能と言えば可能である。
まずは、給与削減であるが、これは、労働者サイドからすると好ましくない方法である。
では、どうするのか?
法人での事業を止めて、個人事業へと戻ることである。
せっかく設立した法人に対する想い、代表取締役という響き、漠然として社会的信用は、捨てがたいと思う。
しかし、法人化して、社保負担増加で、経営が苦しいのであれば、社保負担をしても問題ない経営状態になるまで、いま一度、個人事業で、事業をすることも冷静な選択肢の一つだと思う。
実際、先日、お話を頂いた相談者の方は、社保負担に耐えられないから、個人へと事業を戻された方もいらっしゃる。
法人化に対するあこがれや、漠然とした希望、期待をなされる気持ちはよくわかる。
しかし、経営は、一定の利益があり、資金が回ることが大前提。
ちなみに、社保負担は、ざっくりであるが、常勤従業員さんの給与の約15%が、会社負担の社会保険料になるからご注意を。
(つまり、社保加入しただけで、常勤従業員さんの給与の約15%の利益が減少するということ。)
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