個人事業のための、損をしないための決算、申告上の留意点というお話 決算編 その3


今回は、個人事業のための、損をしないための決算、申告上の留意点というお話 その3。


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では、さっそく。

その1 青色申告者の少額減価償却資産の一括経費計上

これは、そのタイミングにおいて、期限立法とされているが、最近では、期限を迎える度に、継続され、随分定番化してきた制度であるが、青色申告者で、税法上の一定の規模未満の事業者においては、原則、減価償却するべき資産について、例外として、購入し、事業に供した年度において、一括で経費計上できる制度がある。

より具体的には、購入金額が、30万円未満のものについて、その処理をしたものの合計額が300万円まで、とされいる。

原則、10万円以上で、1年以上長期に渡り利用する資産については、減価償却をして、最低、2年以上に渡り、当該資産の取得価額を経費化していくことになるが、上記の特例を使えば、経費化を早期化できる。

ただし、留意点がある。

まず、青色決算書の減価償却の明細において、そのように処理したことを表現し、また、備考欄に、租税特別措置法第28条の2を適用した旨を記載することである。

また、30万円未満を判定する際には、経理方式が、税込方式の場合には、税込額で、また、税抜方式の場合には、税抜額で判定することが留意が必要である。

さらに、当該適用額の上限は、年間300万円までとされいるが、これは、12か月で300万円であり、開業初年度等、12か月事業を継続していない場合には、300万円÷12×事業月数により算定された金額が上限になることから留意が必要だ。

加えて、この制度が適用できなかったとしても、20万円未満の資産については、一括償却資産として、3年間で均等償却できる制度もあるので、耐用年数と比較した上で、その適用もご検討頂ければと思う。

その2 除却した資産の除却損の計上

これも意識していないと意外ともれがちだ。

ここで、除却とは、簡単にいうと処分した、捨てた、ということである。

つまり、壊れたり、陳腐化したり、使用していないこと等から、除却した減価償却資産について、会計上、除却の処理をすることを忘れていることは意外と見受けられる。

そのため、決算時には、減価償却資産の明細を見て、除却したものの有無を確認して、除却にしたものがあれば、その年度の減価償却費を控除し、なお、未償却残高がある場合には、当該未償却残高について、除却損を計上して、処理するということである。

また、今年以降は、12月までの間に、使っていない減価償却資産については、除却して、除却損を計上し、節税することを意識していただきたい。

その3 減価償却資産以外の資産の償却、費用化

これも稀に忘れられている。

例えば、繰延資産の償却。

ただ、繰延資産の償却はまだされているケースが多い。

されれていないケースが多いのは、長期前払費用の経過処理である。

例えば、借入に関する保証料の経過処理である。

また、超長期の保険料に関しても、経過処理がされていないケースもあるので留意が必要だ。

これらの長期間にわたる前払費用については、会計帳簿上、分かりやすい形で管理すのか、内訳が多い場合には、別途、エクセル等で管理表を作成して、管理されることで、漏れのない経費計上に努めて頂きたい。

その4 減価償却費の計上もれ

はい、これも、まれにある。

つまり、減価償却資産の明細上は、減価償却費の計算をしているにもかかわらず、肝心の減価償却費の計上という経理処理がもれているために、経費化を、永遠に、漏らしてしまうということである。

ここで、ポイントは、永遠に、という点である。

この点、法人の場合には、減価償却費の計上は、損金経理、つまり、経費計上の処理のタイミングは、償却限度額の範囲内であれば、任意、とされているが、個人の所得税場合には、強制償却であり、経費計上の処理のタイミングは、例外なく、毎年、とされている。

したがって、一旦、経費計上のタイミングを逃してしまうと、更正の請求といって、還付バージョンの修正申告(他方、修正申告とは、追納する場合の訂正申告のことである。)をする必要があるが、更正の請求による還付をする場合には、原則として、税務調査がセットになるため、やはり、面倒なことになるのである。

減価償却費を計算しても、減価償却費を計上していない、というミスは避けなければならない。

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